歯が抜けたままにしておくとこんなリスクが!【院内報R5年7月号】
暑くなってくると、冷たいうどんやそば、冷やし中華などが食べたくなりますね。
美味しい麺類の秘訣はコシ。
では、私たちはどうやってコシを感じているのでしょうか?
食べ物の味は、舌にある味覚で判断します。
では歯触りや歯ごたえは、どこで感じるのでしょう?歯の神経?歯ぐき?
答えは…「歯根膜(しこんまく)」という歯とあごの骨をつなぐ組織で感じ取っています。
歯根膜は、0.3mmほどの厚さの、弾力のある繊維質の組織です。
歯と歯槽骨をつなぎ、歯にかかる力を吸収し、さらに力が入りすぎないように噛む力の調整もしています。
歯根膜はセンサーの役割も担っており、噛んだ時の「かたさ」や「感触」といった微妙な刺激を、脳に伝えています。
そのおかげで、私たちは歯ごたえを感じられるのです。
では全部歯がなくなった総入れ歯の人の場合はどうなるのでしょうか?
この場合、入れ歯を支える歯肉のセンサーが、歯根膜のセンサーの代わりをすると考えられていますが、感度はとても悪くなってしまいます。
つまり、一度でも歯を失うと、食感も一緒に失われてしまうのです。いつまでも健康歯を維持できるように、日頃の口腔ケアを頑張りましょう!
歯が抜けたままにしておくとこんなリスクが!
★お口に起こること
◆両隣の歯が倒れてくる
歯がないまま放置していると、欠損部分の両隣の歯が倒れてきてしまいます。倒れた歯の根元部分や隙間が空いた歯と歯の間には汚れがたまりやすく、虫歯や歯周病の原因になります。また、放置するとさらに奥の歯が倒れてきて、かみ合わせが徐々に崩れていきます。
◆噛み合う歯が伸びてきます
がないまま放置していると、反対側の噛み合う歯が、そのスペースに伸びてきます。歯が伸びてきて下の歯に当たると、顎全体の歯並びが崩れていきます。
★身体に起こること
歯を失ったままにしておくと、頬や顎のラインが内側に寄って顔が歪んでしまったり、前歯の場合、お口まわりのシワが目立つようになることがあります。さらには、時間が経過し歯茎が下がってしまうと、頬がこけているように見えたり、顎がたるんでいるように見えたりすることもあります。また、食べ物をちゃんと噛めないので、ちゃんと発音ができなくなり、笑顔も見せられなくなると、人付き合いが億劫になります。噛めないことで脳に刺激がいかなくなると、認知症を発症するリスクも高くなります。一本の歯を失うだけで、これだけの悪影響が出てしまうのです。
①しっかり噛めないため、顔の輪郭が変わることがある。シワやあごのたるみが出てくる。
②ちゃんと噛めないので、消化器官に負担がかかってくる。
③発音がしづらい、話がしにくい。歯を見せて笑えないなど、コミュニケーションがしづらくなる。
④認知症のリスクが高まる。
★すぐにきちんと治療しよう
歯を失った際には、主にインプラント、入れ歯、ブリッジの3つの治療法があります。それぞれにメリットでメリットがあるので、歯科医師と相談の上、ご自分にとって納得のいく治療を選びましょう。