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歯が溶けていく!? 酸蝕歯とは?【院内報R6年7月号】

いよいよパリオリンピックが始まります。1986年のロス五輪以降、日本ではオリンピック特別強化指定選手は全員、歯科の定期健診を受けることになっています。歯科トラブルによって、ベストパフォーマンスが出なかった選手が20数名いたことが判明したからです。

スポーツ選手と言えば心身共に健康そうに見えますが、激しい運動を支えるために、強く噛みしめたり、食事回数が多かったり、高カロリーで高糖質な食事を摂取しなければならなかったり、水分補給の際のスポーツドリンクに含まれる糖分により、虫歯や歯周病、酸蝕歯など、歯やお口のトラブルを抱えやすいのです。

運動部の学生さんたちも、部活を初めてからお口の状態が悪くなる人が多いのは、あらかた同じ理由のようです。健康なお口はパフォーマンスを支えることにも繋がります。練習が忙しくても定期検診はお忘れなく!今回のパリ大会でも、日本選手が健康な歯で本領を発揮し、たくさんの感動を届けてくれることでしょう。皆で応援しましょうね!

歯が溶けていく!? 酸蝕歯とは?

★酸蝕歯とは?

歯周病、虫歯に次ぐ第3の疾患として酸蝕症が注目を集めています。

小さい頃「コーラを飲むと歯が溶ける」と言われた経験はありませんか?実は本当です!私たちの歯は、食べ物や飲み物に含まれる酸に長時間触れ続けると、簡単に溶けだしてしまうのです。

歯を覆っているエナメル質は、体のなかで最も固い組織ですが、強い酸に触れると化学反応を起こして分解し、溶けだします。エナメル質が溶けると、その下にある象牙質がむき出しになります。象牙質は柔らかいので、摩擦でどんどん磨り減って行きます。また着色しやすくなります。こうした状態を放置していると、虫歯になりやすくなったり、冷たいものが滲みる知覚過敏になったり、歯のトラブルを引き起こしやすくなるのです。現在このような酸蝕歯の罹患率は国民のおよそ4人に1人もいると言われています。

★酸蝕歯は夏こそ気をつけよう

歯のエナメル質は、ph5,5以下で溶け始めます。左の表は、普段よく口にする飲み物のpHの数値です。ミネラルウォーターのpH7が中性です。

通常は唾液の自浄作用が働いているため、PH値の低い飲み物を飲んでも、すぐにはむし歯にはなりません。唾液には、歯の汚れを洗い流す働きと、酸を中和する働き、そして溶けた歯の再石灰化を促進する働きがあるからです。

しかし、長い時間をかけてちびちび甘い飲み物を飲み続けると、お口の中が酸性環境に長くさらされ、唾液による再石灰化の時間が短くなって、酸蝕歯になるリスクが高くなります。

夏は、スポーツ後の水分補給にスポーツドリンクを飲む機会が多くなります。また、健康意識の高い人で「ビタミンドリンク」や「酢ドリンク」を日々愛飲している方も要注意です。

水分補給はなるべく水かお茶で。ジュースやスポーツドリンクを飲むときは短時間で飲み切って、飲み終わったらすぐに水で口をゆすぎましょう。

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