メタボリックドミノと歯周病【院内報R5年6月号】
6月になりました。6月4日〜10日は歯と口の健康週間です。今年の標語は、『手に入れよう 長生きチケット 歯磨きで』です。
人生100年時代と言われるようになりました。しかし、大切なのは健康的に過ごすことです。お口は健康の入り口と言われるように、口腔内を健康にすることは全身の健康維持につながります。これを機に、日頃の口腔ケアや食生活などを見直してみてくださいね。
また、梅雨になると気を付けたいのが食中毒です。梅雨は湿度・気温がともに高くなり、細菌が増殖しやすくなるからです。食中毒の予防には、食中毒の原因になる細菌を、「付けない(清潔)」「増やさない(迅速・冷却)」「やっつける(加熱)」がポイントです。食事の前にしっかりと手を洗う、調理材料は冷蔵庫で低温保管する、お肉や生鮮食品はしっかりと火を通すなど、この季節は特に注意しましょう。
毎日使う歯ブラシも、不潔にすると一月ほどでカビが生えてきます。きれいに洗って風通しのよい場所に保管しましょう。そして、できるだけ月に一度は交換しましょう。
★メタボリックシンドロームと、メタボリックドミノ
メタボリックシンドロームという言葉をよく耳にするようになりました。脳梗塞や心筋梗塞など、動脈硬化性疾患を引き起こす人には、「肥満」、「糖尿病」、「高血圧」、「高脂血症」などの生活習慣病を併せ持つ人が多いことが知られています。これらの病気は偶然合併しているわけではなく、お互いに密接に関連していることがわかってきました。そして、これらの生活習慣病が合併している状態を、『メタボリックシンドローム』と呼ぶのです。個々の病気は軽症の場合が多いため軽視されがちですが、2つ3つと揃うことによって悪循環となり、動脈硬化や高血圧などが加速されてしまうのです、
生活習慣病の原因は、その名の通り不適切な食習慣、運動不足、喫煙、過度な飲酒、過労、ストレスなどが挙げられます。これが毎日繰り返されることで生活習慣となり、ドミノ倒しのように様々な病気を発症し、最終的に重度の状態に至るのです。この一連の流れのことを『メタボリックドミノ』と呼びます。歯周病は、このドミノの最上流に位置している怖い疾患です。
引用:慶應義塾大学病院ホームページメタボリック症候群
★歯周病とメタボリックドミノの関係
歯周病は、歯を支えている歯肉・歯槽骨などの歯周組織が歯周病菌によって破壊され、やがて歯を失ってしまう病気です。30代以上の成人の3人に2人がかかっていると言われ、日本人が歯を失う原因の第一位です。そんな歯周病は、2型糖尿病やメタボ・肥満など、さまざまな全身疾患を悪化させる原因になることが知られています。肥満や糖尿病の人は、歯周病が発症・重症化しやすくなります。また、歯周病の原因菌である歯周病菌が、食事で咀嚼するたびに血管に圧入されるため、血糖値をコントロールするインスリンの働きが悪くなり糖尿病を悪化させます。つまり、糖尿病と歯周病は相互に影響し合いながら互いを悪化させていきます。
一度倒れ始めたドミノを止めるのが難しいように、メタボリックドミノになってしまうと途中でこの流れを止めるのは難しくなります。メタボリックシンドロームの段階で、きちんと生活習慣病を改善しておくことが大事なのです。
★歯周病を予防しよう
歯周病の予防で一番大切なのは歯磨きです。毎日の歯磨きを丁寧にするよう心がけましょう。また、歯の汚れ(歯垢や歯石)は、どんなに頑張っても歯磨きだけで落としきることは困難です。歯と歯の間や歯と歯茎の間の歯垢は取れないからです。歯科医院に定期的に通って、3か月に一度は、プロの手で徹底的にお口の中をクリーニングしましょう。