院内報一覧

女性と歯周病の関係【院内報R5年11月号】

11月15日はかまぼこの日だそうです。「かまぼこ」が初めて文献に登場したのが1115年(永久3年)の祝宴の膳の図に描かれていたものとされており、この年の数字の並びから11月15日を記念日としたそうです。昔は11月15日の「七五三」のお祝い料理に、子供の成長を祝って「紅白のかまぼこ」を用意する習慣があったことにも由来しています。

さて、皆さんは歯科で歯の型をとったことはありますか?歯の型をとることを「印象をとる」と言い、型をとる材料を「印象材」と言います。印象材にはいろいろな種類がありますが、よく使用されるアルギン酸印象材は蒲鉾を固めるときに使用する、昆布や海藻に含まれるアルギン酸を主成分としています。患者さまによっては、印象をとられることが苦手という方もいらっしゃるのではないでしょうか?お口を大きく開けたままだったり、大きい器具がお口の中に入ったり、息苦く辛いものですよね・・・そんなときには「これはかまぼこと同じ材料か!」と思うと少し楽になるかもしれません。

女性と歯周病の関係

実は男性に比べ、女性のほうが歯周病に悩む機会が多いということをご存じでしょうか。女性ホルモンには、ある特定の歯周病菌の増殖を促したり、歯周組織の炎症を悪化させたりする作用があります。女性ホルモンの分泌はライフステージによって変化します。女性特有の歯周病を理解しケアをしましょう。

★思春期

小学生高学年や中学生に見られる歯周炎を「思春期性歯肉炎」と言います。歯ぐきが腫れたり、歯みがきによる刺激で歯ぐきから出血したりする歯周炎で、発症の頻度では思春期の子供のおよそ20%に見られるという報告もあります。この思春期性歯周炎の原因は、女性ホルモンと言われています。体の成長に伴ってホルモンのバランスが大きく変わることで歯肉炎にかかりやすくなってしまうのです。歯周炎の初期は大きな痛みもなく、また思春期や部活や試験、受験で忙しい時期なので、知らないうちに進行してしまうこともあります。

★妊娠出産

妊婦さんに気をつけてほしい歯周炎が「妊娠性歯肉炎」です。妊娠すると、女性ホルモンが大量に分泌されます。つわりで十分に歯が磨けなくなる、食生活の変化で唾液量が減り、唾液による自浄作用が低下するなどの理由から、口内環境が悪くなり、歯周病リスクが高くなります。
産後も育児に手が掛かり、自分の口腔ケアをおろそかにしがちで、出産を期に歯周病になってしまうケースが多いので注意が必要です。また、歯周病は、早産の原因にもなります。虫歯や歯周病の治療は、できるだけ妊娠する前に済ませておきましょう。

★更年期

女性ホルモンのエストロゲンは骨密度の低下を防ぐ役割をしています。更年期を過ぎると、エストロゲンが減少し、骨密度が低くなり、骨粗鬆症になりやすくなるのは良く知られていますが、歯を支える顎の骨も弱く脆くなります。更に、歯茎が痩せてしまったり、口が乾きやすくなる(ドライマウス)ことで、歯周病リスクが高くなります。

★定期的に歯科医院でケアを受けましょう

毎日の歯磨きでも除去できないプラークは、放置すると歯石と呼ばれる状態へと変化します。歯石になると歯磨きでは除去することができません。歯石を放置していると表面に更にプラークが蓄積し、歯周炎が悪化する可能性があります。ホルモンバランスによるお口の変化に対応できるよう、定期的に歯科医院に通い、専用の器具でお口の汚れを取り除きましょう。

一覧へ戻る